「久比」について

柑橘が潮風になびく町、久比

人口約420人、広島県呉市に位置する大崎下島・久比(くび)は、昔から主要産業として盛んな柑橘類が色とりどりに実る段々畑と、波の穏やかな瀬戸内海に囲まれた小さな集落です。海の幸にも恵まれた久比は、季節によってさまざまな魚介類を味わい、楽しむことができる場所でもあります。

美しい自然とその自然がもたらす作物に恵まれた久比。そしてここには、私たち人間が本質的に豊かに在り続けることのできる土壌がありました。

フランスから来た、とあるご家族を例に挙げます。そのご家族は、世界中を転々と旅しながらその地の文化を学び、人々と交流し、自給自足の生活を営んでいました。そして2018年の夏、彼らは数ヶ月でしたが久比に生活拠点を構えました。彼らは朝は早くから庭の畑を耕し、昼は収穫したてのお野菜をいただく。時には、ご近所さんとお互いの育てたお野菜を交換することも。1日の終わりには浜辺に自転車を走らせ、瀬戸内海に沈む夕焼けを眺めながら、家族団欒の時間を楽しんでいました。

約3ヶ月間の滞在後、彼らは、「久比の皆さんが親切に案内してくれたおかげで、ここでの生活は本当に楽しかった。」と同時に、こんな言葉も残してくれたのです。

「これまで数多くの国を旅して来たけど、子供たちだけで外出させられたことには驚いた。こんなにも安心できる場所は、久比が初めてでした。」

彼らの言葉には、久比の持つ魅力が十分に込められています。

現代に生きる私たちが忘れかけていたものが、ここにはあった

ゆるやかなコミュニティが存続するこの地では、人々は目が合えば挨拶を交わし合います。相手が地域の人でなくても、それに変わりはありません。育んだ作物や釣ったお魚を、当たり前のように分かち合います。物がなければ自ら生み出し、物が壊れれば自ら直す。毎日汗を流して畑作業をし、そして1日の終わりに一言。「ふぅ、今日もよく働いた!」

ちょっぴりシャイな久比の人々。それでも、よそ者を温かく迎えてくれる久比の人々。

モノ・コト・情報に溢れた現代に生きる私たちのこれから目指すべき豊かさは「暮らしが自らの手の中にあること」ではないでしょうか。そして、その実践の場に久比はぴったりな拠点だと思うのです。

久比の詳細

所在地

大崎下島(広島県・呉市の瀬戸内の島)
大崎下島は、呉市豊町と豊浜町からなり、本土の東広島市安芸津町の南約15㎞の海上に位置する。面積は17.46㎞、島周りの海岸は約26㎞で、中央にそびえる一峰寺山(標高448.6m)から東西に峰が連なり、山裾が海岸線に及んでいる。谷間に古くから村ができ、島内は大きく6つのエリア(久比、大長、御手洗、沖友、大浜、立花)がある。

所在海域

瀬戸内海
安芸灘諸島の東端が久比のある大崎下島。本土呉市仁方から安芸灘大橋を渡るととびしま海道。かつては離島で船での行き来をしていたが20年ほど前に下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島+岡村島(愛媛県)5つの島が7つの橋で結ばれ、現在は車、バスでそれぞれの島を訪れることができる。

主要産業

久比は明治時代以降、柑橘栽培を主とした農業が盛んであったが、昭和40年代初頭をピークに、人口減少高齢化が進み、休耕農地が増えている。

アクセス

広島駅より90分(車)または呉市広より70分(バス)
本土竹原、しまなみ海道大三島、愛媛県今治からフェリー等で大崎下島もしくは岡村島に渡り、港から久比までは車10分程度
詳しくはこちら→